Category: <山岸会養鶏法> > 一特別解説 | 2003.12.30 Tue 13:00
6 山岸三号種について
本種を会で採用した経緯
人間の生活は一生を通じて、遊戯であり、私は自分を自分から離して、例えば芝居の登場人物を、客席から観る態度で、眺め、楽しんでいますから、喜怒・哀楽・不遇・得意の感情に冷淡な訳で、儲かってもそれ程嬉しくないし、損しても他所事のようです。
徴兵検査の時、厳めしく威張って、上官だと思っている人の前でも、或は子供の時に大人が目に角立てて、私に怒っている顔を見ておかしくなり、自分を忘れて、クスリッと笑って、一層ヒドク怒らした記憶があります。
養鶏も、農業も、本来の仕事の方も、凡て芝居であり、遊びであり、生きて居る間のなぐさみで、楽しい一つの踊に過ぎないのです。
養鶏を職業とした時代でも、弄び的で、飼養法にしても、鶏種にしても、いろいろ建てては壊し、積んでは崩し、組み変えて試る癖が抜けなかったのです。
養鶏を甫めた当時から、一定の師がなく、型がなく、珍しい鶏種を手に入れ、観賞・観察し、文献を漁り・種々の交配を試みたうちの一つが、この交雑種です。
名古屋種×黒色ミノルカも、ゴールデンネックに出て、眼が美しく、アンダルシャン(白ミノ×黒ミノの永久雑種)が一番好きで、灰色の夢のような可愛いいヒヨコを見ると、心がうづき小羽数を永年愛育した事もあります。
山岸三号種は、横斑ブリマスロック♀×ロードアイランド・レット♂から出た一代交配雌ゴールデンネック×単冠白色レグホーン♂から生れる近交系三種間交配雑種で、二十年近く試育し続けた実用食卵鶏です。
同種間でもそうですが、異鶏種間の交雑は軽々には出来ない事で、子の代に出る能力が、高く安定する系統間の交配の場合に限るのです。
これは本会で推奨し続けて来た、卵主交配種の代表的なもので、必ずや普ねく鶏界を風靡することを、確信するものです。
純粋種間の交配種の優劣は、既に論じ尽されている観があり、親の代に顕われ、或いは潜む、幾多の形質遺伝因子の組み合せにより、実に優秀な子の産れることは、凡ての動植物界に知悉され、行われつつあります。
如何に高い性能の種間交配をしましても、両親に潜む劣性因子が劣悪で、二個重なれば、その子の代にはそれが顕われ、両親の何れにも見られぬ、劣悪なものになる事があります。
所謂合性と云うことで、本会ではそれ等の点について深く研究し、実験の結果を纒め、現在の日本鶏界事情には一番優秀な実用食卵鶏として普遍性の高い三近交系純粋種間の交配種を、会員種鶏場で採種し、会員孵卵場で孵化し、会員の食卵養鶏向として、飼養出来るようにしました。
その動機は1953年度の支部長会に出席された、相楽の吉岡技師から適品種を選定してはとの提案があり、満場一致でそれを可決し、其後会の種鶏委員で調査検討の結果、先づこの三種間交配種を採用する事に決定したのです。
名称は藤田総務の提唱に同意され、山岸三号種と命名し、幸に横斑ロック専養の、会員種鶏孵卵場の山下場主が、自ら実地視察に来られ、会及業界繁栄のための、積極的支示によって、実現の運びとなり、会員種鶏場で採種し、会員孵化場で孵化し、実用養鶏会員に優先分配され、現在に至りました。
種鶏検査も府の検定を受け、なお会に於て調査選抜して強力に発足し、今日既に会員の努力によって、数的にも、質的にも、その優秀さが実証確保され、業績を挙げています。
発表当時は、浅い経験者や、推定批判者等から、軽率な賛否両論が賑わいましたし、山下氏も雛が捌けるかと、一抹の危惧を持っていましたが、事業化して実施しましたところ、多年の小試験通りの好結果で、今春の如き一般に雛売行不良の中でも、シーズンを超える申込で、翌年の予約迄も、各地から随分集まっている盛況です。
これは山下孵化場の先鞭で事業化されたけれども、同場のみの特権でもなく山下氏も亦、こんな優秀な雛は全国の孵化場で出さるべきだと、会う毎の孵化業者に自信を持って推奨しています。
会員及会員外からもそれを希望し、明春より各地の会員孵化場でも孵化します。
山岸三号種の特徴
山岸三号種の特に優れている点は、今迄実用鶏として好評の高い一代交配種の名白や、ロックホーン・ロードホーンよりも素晴しい高性能で、雛が大きくその発育の早くて、強壮で、極端な粗食で、殆ど青草でよく稼せぐ事で、抜雄の肉養鶏にも大型・早熟で肉質よく、飼育者も業者も驚くばかりの成績で、凡ての点で長所ばかりです。
又山岸三号種を産み出すゴールデンネックは、種卵養鶏会員を有利に安定ならしめるものです。
横斑ロック♀×ロード♂は子雌が黒く、雄は横斑に出るから、素人でも雌雄鑑別が一羽の間違なく出来、雄の発育はロードやロック雄より早く大きくなり、雌雄共に物凄く強健で、耐病性が特に優れています。
粗食の方が却って飼い易い位で、粗剛青草を多給すると、牛のように丈夫で大躯となり、老鶏で出すまで、落伍鶏皆無と云える位で、生産性が高く、卵殻色もロックより濃美で商品価値が高く、格付が上位に取引されます。
ロックとネックを同時に入雛し、同一条件で比較すると、ネックの方が産卵率高く、大卵故、初卵から殆ど14.5匁以上の種卵秤量に合格し、ロックの失格小卵20%に比べて、著しく有利です。
孵化率も高く、発生雛の目立って大きい事等、種鶏家も、孵化場も、一般実用養鶏家も、皆都合のよい事ばかりです。
ネックは、系統によっては少々就巣性がありますが、早く離巣檻に入れると軽く巣念を断ちますから、大した事でもありません。
四元交配も準備を進めて居ますが、日本ではネックを作る母体の横斑ロックは、夙くから引続き原種を米国種鶏家に受けて、田中氏の如きは、ロック改良に数十年打込まれたそうで、工藤岡崎種畜牧場長や、岐・後藤、山下・黒田各氏及び其他幾多の有名・無名人の努力により、改良が進められ、優秀な種鶏が数的にも相当飼養されていますから、現実的に最も適したこれ等の交配種の普及は、急速に進むと思います。
種鶏改良家の努力は並々ならぬものがあり、気まぐれや、忙しい農家等の片手間仕事にでは、手に合わないです。
それ等先輩の業績は、今日各支部会員間の実地見廻り研鑽会にも現れ、それ等から生れたゴールデンネックや、山岸三号種と他の鶏種との比較実体は、如何なる権威者の高論卓説にも勝り、試験管的試験と違い、実際の事実が事実を物語り、今後の鶏界の進路に大いなる示唆と燈火を掲け、何びともこの事実を、曲げて語るを得ないでしょう。
かように優れた雛が生産されるのも、原種改良と、種卵養鶏会員・孵化会員及多数実用養鶏会員間の緊密な連繋によったもので、相手方を栄えさして全体が栄え、自分も栄える一体機構が養鶏面にも具現され、親愛協力社会のモデルケースと云えましょう。
”われひとと共に繁栄せん”の会旨を有形体に実現したもので、喜び、喜ばし合いの世界では良い実が稔り、デカデカと広告しなく共、真価が認められて鶏界不況はどこ吹く風と伸び行くのです。
私共はこの素晴らしい業績を省みる時、いよいよ、ますます、各自各自の持ち場に専心没頭し、他を愛し、みづからも住む世界全体の繁栄に、心と、力を致し度いものです。
原種改良家も一人で幾種類、幾系統も併養せないで、他の系統保持者と計画・連繋・交流し、一人一系統位に専心没頭し、純度を最高頂点に引上げ、安定血液を確保し、種卵養鶏家にその業績を大きく生かす事で、そこに種鶏改良の意義と生きがいがあるのです。
種卵養鶏家も後代調査や、経済面等で原種養鶏家に協力し、一方種卵養鶏家として、その子の代での最高性能に主力を注ぎ、種鶏・種卵の厳選・疾病隔絶・環境・飼料・管理による卵質の向上(無理に産卵せしめぬ)100%孵化、100%育成・雌雛歩合引上げ、老熟種鶏による発育充実等、生産原価が相当嵩んでも、其の子が行き先々でよく稼せぎ愛され、種鶏家達の心の響く雛が孵える種卵を、生産することです。
求められる雛を造る事のみを考えて専念して居れば、質の事や値段の事等を一口も云わなく共、必ずその種卵は認められて、安く売ろうとしても、買う方が種鶏家を栄えさす値段にするものです。
これは、私の多年の体験から保証します。
何れの部門の人も、鶏や稲に対しても、彼等を儲道具と思って搾ろうとしては、却って本当の働きが出来ませんから、いつも余裕を持たし、彼等を満足さす事が成功の秘訣です。
鶏も稲も共生の世界であり、人と人とは無論の事で、対立紛争一切を起さずに、官・民・業者相協力し、総親和で共に繁栄しましょう。
1955,5,10 山 岸 巳
人間の生活は一生を通じて、遊戯であり、私は自分を自分から離して、例えば芝居の登場人物を、客席から観る態度で、眺め、楽しんでいますから、喜怒・哀楽・不遇・得意の感情に冷淡な訳で、儲かってもそれ程嬉しくないし、損しても他所事のようです。
徴兵検査の時、厳めしく威張って、上官だと思っている人の前でも、或は子供の時に大人が目に角立てて、私に怒っている顔を見ておかしくなり、自分を忘れて、クスリッと笑って、一層ヒドク怒らした記憶があります。
養鶏も、農業も、本来の仕事の方も、凡て芝居であり、遊びであり、生きて居る間のなぐさみで、楽しい一つの踊に過ぎないのです。
養鶏を職業とした時代でも、弄び的で、飼養法にしても、鶏種にしても、いろいろ建てては壊し、積んでは崩し、組み変えて試る癖が抜けなかったのです。
養鶏を甫めた当時から、一定の師がなく、型がなく、珍しい鶏種を手に入れ、観賞・観察し、文献を漁り・種々の交配を試みたうちの一つが、この交雑種です。
名古屋種×黒色ミノルカも、ゴールデンネックに出て、眼が美しく、アンダルシャン(白ミノ×黒ミノの永久雑種)が一番好きで、灰色の夢のような可愛いいヒヨコを見ると、心がうづき小羽数を永年愛育した事もあります。
山岸三号種は、横斑ブリマスロック♀×ロードアイランド・レット♂から出た一代交配雌ゴールデンネック×単冠白色レグホーン♂から生れる近交系三種間交配雑種で、二十年近く試育し続けた実用食卵鶏です。
同種間でもそうですが、異鶏種間の交雑は軽々には出来ない事で、子の代に出る能力が、高く安定する系統間の交配の場合に限るのです。
これは本会で推奨し続けて来た、卵主交配種の代表的なもので、必ずや普ねく鶏界を風靡することを、確信するものです。
純粋種間の交配種の優劣は、既に論じ尽されている観があり、親の代に顕われ、或いは潜む、幾多の形質遺伝因子の組み合せにより、実に優秀な子の産れることは、凡ての動植物界に知悉され、行われつつあります。
如何に高い性能の種間交配をしましても、両親に潜む劣性因子が劣悪で、二個重なれば、その子の代にはそれが顕われ、両親の何れにも見られぬ、劣悪なものになる事があります。
所謂合性と云うことで、本会ではそれ等の点について深く研究し、実験の結果を纒め、現在の日本鶏界事情には一番優秀な実用食卵鶏として普遍性の高い三近交系純粋種間の交配種を、会員種鶏場で採種し、会員孵卵場で孵化し、会員の食卵養鶏向として、飼養出来るようにしました。
その動機は1953年度の支部長会に出席された、相楽の吉岡技師から適品種を選定してはとの提案があり、満場一致でそれを可決し、其後会の種鶏委員で調査検討の結果、先づこの三種間交配種を採用する事に決定したのです。
名称は藤田総務の提唱に同意され、山岸三号種と命名し、幸に横斑ロック専養の、会員種鶏孵卵場の山下場主が、自ら実地視察に来られ、会及業界繁栄のための、積極的支示によって、実現の運びとなり、会員種鶏場で採種し、会員孵化場で孵化し、実用養鶏会員に優先分配され、現在に至りました。
種鶏検査も府の検定を受け、なお会に於て調査選抜して強力に発足し、今日既に会員の努力によって、数的にも、質的にも、その優秀さが実証確保され、業績を挙げています。
発表当時は、浅い経験者や、推定批判者等から、軽率な賛否両論が賑わいましたし、山下氏も雛が捌けるかと、一抹の危惧を持っていましたが、事業化して実施しましたところ、多年の小試験通りの好結果で、今春の如き一般に雛売行不良の中でも、シーズンを超える申込で、翌年の予約迄も、各地から随分集まっている盛況です。
これは山下孵化場の先鞭で事業化されたけれども、同場のみの特権でもなく山下氏も亦、こんな優秀な雛は全国の孵化場で出さるべきだと、会う毎の孵化業者に自信を持って推奨しています。
会員及会員外からもそれを希望し、明春より各地の会員孵化場でも孵化します。
山岸三号種の特徴
山岸三号種の特に優れている点は、今迄実用鶏として好評の高い一代交配種の名白や、ロックホーン・ロードホーンよりも素晴しい高性能で、雛が大きくその発育の早くて、強壮で、極端な粗食で、殆ど青草でよく稼せぐ事で、抜雄の肉養鶏にも大型・早熟で肉質よく、飼育者も業者も驚くばかりの成績で、凡ての点で長所ばかりです。
又山岸三号種を産み出すゴールデンネックは、種卵養鶏会員を有利に安定ならしめるものです。
横斑ロック♀×ロード♂は子雌が黒く、雄は横斑に出るから、素人でも雌雄鑑別が一羽の間違なく出来、雄の発育はロードやロック雄より早く大きくなり、雌雄共に物凄く強健で、耐病性が特に優れています。
粗食の方が却って飼い易い位で、粗剛青草を多給すると、牛のように丈夫で大躯となり、老鶏で出すまで、落伍鶏皆無と云える位で、生産性が高く、卵殻色もロックより濃美で商品価値が高く、格付が上位に取引されます。
ロックとネックを同時に入雛し、同一条件で比較すると、ネックの方が産卵率高く、大卵故、初卵から殆ど14.5匁以上の種卵秤量に合格し、ロックの失格小卵20%に比べて、著しく有利です。
孵化率も高く、発生雛の目立って大きい事等、種鶏家も、孵化場も、一般実用養鶏家も、皆都合のよい事ばかりです。
ネックは、系統によっては少々就巣性がありますが、早く離巣檻に入れると軽く巣念を断ちますから、大した事でもありません。
四元交配も準備を進めて居ますが、日本ではネックを作る母体の横斑ロックは、夙くから引続き原種を米国種鶏家に受けて、田中氏の如きは、ロック改良に数十年打込まれたそうで、工藤岡崎種畜牧場長や、岐・後藤、山下・黒田各氏及び其他幾多の有名・無名人の努力により、改良が進められ、優秀な種鶏が数的にも相当飼養されていますから、現実的に最も適したこれ等の交配種の普及は、急速に進むと思います。
種鶏改良家の努力は並々ならぬものがあり、気まぐれや、忙しい農家等の片手間仕事にでは、手に合わないです。
それ等先輩の業績は、今日各支部会員間の実地見廻り研鑽会にも現れ、それ等から生れたゴールデンネックや、山岸三号種と他の鶏種との比較実体は、如何なる権威者の高論卓説にも勝り、試験管的試験と違い、実際の事実が事実を物語り、今後の鶏界の進路に大いなる示唆と燈火を掲け、何びともこの事実を、曲げて語るを得ないでしょう。
かように優れた雛が生産されるのも、原種改良と、種卵養鶏会員・孵化会員及多数実用養鶏会員間の緊密な連繋によったもので、相手方を栄えさして全体が栄え、自分も栄える一体機構が養鶏面にも具現され、親愛協力社会のモデルケースと云えましょう。
”われひとと共に繁栄せん”の会旨を有形体に実現したもので、喜び、喜ばし合いの世界では良い実が稔り、デカデカと広告しなく共、真価が認められて鶏界不況はどこ吹く風と伸び行くのです。
私共はこの素晴らしい業績を省みる時、いよいよ、ますます、各自各自の持ち場に専心没頭し、他を愛し、みづからも住む世界全体の繁栄に、心と、力を致し度いものです。
原種改良家も一人で幾種類、幾系統も併養せないで、他の系統保持者と計画・連繋・交流し、一人一系統位に専心没頭し、純度を最高頂点に引上げ、安定血液を確保し、種卵養鶏家にその業績を大きく生かす事で、そこに種鶏改良の意義と生きがいがあるのです。
種卵養鶏家も後代調査や、経済面等で原種養鶏家に協力し、一方種卵養鶏家として、その子の代での最高性能に主力を注ぎ、種鶏・種卵の厳選・疾病隔絶・環境・飼料・管理による卵質の向上(無理に産卵せしめぬ)100%孵化、100%育成・雌雛歩合引上げ、老熟種鶏による発育充実等、生産原価が相当嵩んでも、其の子が行き先々でよく稼せぎ愛され、種鶏家達の心の響く雛が孵える種卵を、生産することです。
求められる雛を造る事のみを考えて専念して居れば、質の事や値段の事等を一口も云わなく共、必ずその種卵は認められて、安く売ろうとしても、買う方が種鶏家を栄えさす値段にするものです。
これは、私の多年の体験から保証します。
何れの部門の人も、鶏や稲に対しても、彼等を儲道具と思って搾ろうとしては、却って本当の働きが出来ませんから、いつも余裕を持たし、彼等を満足さす事が成功の秘訣です。
鶏も稲も共生の世界であり、人と人とは無論の事で、対立紛争一切を起さずに、官・民・業者相協力し、総親和で共に繁栄しましょう。
1955,5,10 山 岸 巳