BOOKS: 『SCIENZ(サイエンズ)』
研鑽科学(ヤマギシズム)について(2008.8.1)
「ヤマギシズム」という語は、もう既に使う必要がなくなったが、「ヤマギシズム」という語が使われている間(消滅し終わるまで)は、その語源を明らかにしておきたいと思う。
―― 4.機構と人情社会に ――

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Category: ヤマギシズム社会の実態 > 第一章 概要 | 2003.11.03 Monday 00:00

4.機構と人情社会に

 そうして、人を縛る法律万能主義は消えて無くなりますが、それかと云って、原始的無政府・無規範社会にしようと云うものではありません。
 水には水の、流れ、溢れぬ、水路を、人には人の、自由に安全に通れる大道を設け、自動的に円滑に、他に迷惑を与えないで、各自の自由意志と、能力に応じた行動が出来る仕掛けにします。無軌道では混乱し、事が運びませんから、真の人間向きの、間違いのない機構・制度を確立します。
 併しそうして立派な道路機構が出来ても、同じ道を行く人の間に、他の人を跳ねとばし、白眼で見交わす冷たい気分があれば、決して愉快な人生旅行は出来ません。又道を尋ねられても自分は自分、ひとはひとと、他に関せずの個人主義も、実は社会が自分一人限りのものでなく、必ず何かで他の人との関連があり、人間は相対的であって、吾一人行かんも程度の差こそあれ、帰結する処、他との保ち合いで人生が有意義になります。本当に人間は一人になり切れるものでなく、そこに人の情が自ずと湧いて来るものです。
 道連れ話相手があると、遠路も忘れて愉快に過ごし、汽車や船で長旅すると、未知の人とも何時か言葉を交わし親しくなり、路傍で見かけた丈の間柄でも、遠い他国で相会うと、近親感を覚え語り合うようになり、純な子供達が、特に早く馴染むのは自然の人の姿でしょう。世の鬼のように云われる冷血漢でも、家庭ではよき夫であったり、やさしい父として心中に涙することもあります。
 理想社会には、「親愛の情が絶対条件」であることは、会の趣旨として強調している如くです。
 即ち権利や、義務や、機構・制度や、身体の健康・物の豊満のみでは、解決出来ないものがあります。しかも幸福条件には、心の豊かさが主要部分を占め、幸福なる人生を理想とする社会構成は、人間愛の基調の上に組み建てねばならないです。
 こういう事は、今迄に云い尽されていましょうが、さて実現出来なかったのは、唱えるのみで、方法を持たなかったもの、又は消極微温的なものや、一般普遍性のなかった事等が原因だと思います。これに対し、この会が結成されて、愛と理知に立脚し、最も急速にそれを実現さすために、幸福条件の凡てに、積極具現方式を採用したのです。
 しかし余り人情が出過ぎて、盲愛になったり、譲り合いで事が運ばなくなっても不都合ですから、それを整頓するためにも、大綱的序列例を示す必要はあります。
 社会機構にも水路・道路に比すべきものを設け、何れを通るも各人の自由選択に委し、決してその人の意志を妨げないのです。そして先を争い妨害する人はなくなりますから罰する法律は要りませんが、譲り合いで交通が混雑しないよう、順位丈は定めて置きます。
 これも既成社会観念から見ると美し過ぎて、婦人会の乗車風景の外麗のみを見た、歯の浮くような幼稚な考え方に見えましょうが、案外近い足下に実践方法があり、やってみれば、事実は決してそんなに難しくもないでしょう。差し当り一つやって見せますかな、です。いや既にやりつつあります。
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