BOOKS: 『SCIENZ(サイエンズ)』
研鑽科学(ヤマギシズム)について(2008.8.1)
「ヤマギシズム」という語は、もう既に使う必要がなくなったが、「ヤマギシズム」という語が使われている間(消滅し終わるまで)は、その語源を明らかにしておきたいと思う。
―― 9.何故幸福社会が実現しなかったか ――

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Category: 知的革命私案 > 一 正しきに戻す | 2003.11.02 Sunday 23:32

9.何故幸福社会が実現しなかったか

 それではどんな方法を以てするか、又どういう風に是正しようか等については、後章で述べることとして、それの前提として、ここでは誰でもが希求している幸福社会が今日に至るも、何故実現して居ないで、多くの人々が苦悩の日夜を過ごしているやについて、云って見度いと思います。
 偉大な先人達はこの問題について、凡ゆる角度からの探究・検討に終生を傾け尽し、生命を賭けてそれを唱導し、万巻の著書に宿して述べ伝えられ、これ等に関与する者幾何なりや図り知れず、各々絶大なる努力により、或るものは相当真を衝いた幸福への道を説き示して、それに接近しつつあるものもありますが、急速に、普遍的に、完成し得ない現実には、幾多の原因を数えられます。
 その第一に挙ぐべきものは、仮定に結びつける非現実的説き方です。今迄の人知をしては解決し得ない部分や、立証出来ない事に対して、仮説をたてて仮説誘導方式を採るもので、こうした根底の確立しないものは、如何に巧妙に韜晦するも、仮説は仮説に過ぎず、一時的仮の幸福は与え得ても、必ずや脆く崩壊することは必然であります。
 その次には、幾多の引例を以て説得を試みる、類似誘導方式があります。こうした説明には相一致し首肯せしめる点も多々あり、各々が持つものに触れ、求めるものに一つの示唆を与える事により。他を律せしめても、盲従的錯覚幸福感は与え得るも、事に直面して齟齬を来たす危なさがあります。
 又中には、現世を救い難い罪の世として、諦観に立たせ、死後に希望を持たせる説き方や、因果応報の原理を解明して、善根を施して報いを待つもの、法律・制度で解決しようとするもの、道徳論を以て凡てを律せんとしたり、神・仏等の偶像迄持ち出し、或いは社殿伽藍や音楽・呪文で、施設雰囲気病的精神誘導詐術や、疾病・難境等の弱点に科学・数理を排して、神秘的精神集中転換誘導法による、心理収攬術を弄して、衆愚を盲信せしめ、こじ付けの偽りの幸福感に心酔せしむるものもあります。
 これ等は概ね社会秩序の上からは、一時的には相当効を奏しているものがありますが、間違いを孕んだものは不安定で、真相・実質の確立を求める現代知識人の首肯しないところです。又社会機構に大きな前進を見つつあるものもありますが、併し現在迄の処では、禽獣等他の動物向きや、器物並に組み立てようとしたものや、人間を神仏(有神信奉者の云う)と看做して説いていても、真の人間に当て嵌めて、完全無欠のものでない事は当然で、方法を持たないものや、他を傷つけ犯す一方的方法では、真の幸福は至らないでしょうし、吾が立身出世の道具に使われ、一将功成る方式で我一人極楽へでは、理想郷は遠ざかるばかりでしょう。
 以上のような方法程度では、人を罰する法律の要らぬ楽園は生れなかったのです。そこで一歩をすすめて、真の人間に合う社会の実現方式を検討しましょう。
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